海外安全情報 風俗・習慣・健康等

1 王室関係

 タイ国民の国王,王族に対する尊敬の念は深く,刑法上「国王,王妃,皇太子,摂政に対する罪」として刑罰が設けられており,例えば王室を侮辱した場合,3年以上15年以下の懲役に処せられるほか,社会的にも厳しい批判を受けることにつながります。

 以前,映画館等で国王賛歌が流れた際,周囲のタイ人が起立し王室に敬意を表す中,起立を拒んだ外国人が逮捕されたことがありますので,外国人旅行者であっても王室に関する言動には十分注意して下さい。

2 仏教関係

 タイの法律には宗教に関する規定が多く,例えば寺院や儀式を侮辱したり,妨害したりする行為は厳しく罰せられます。仏像は例え倒壊したものであっても神聖なものとされています。仏像の国外持ち出しは禁止されており,無断持ち出しは罰せられます。

 また,僧侶は上座部仏教の教義に則し,絶対に女性(子供を含む)に触れたり,触れられたりしてはいけないことになっています。

 身体のうち,頭部は神が宿る場所として神聖視されており,頭部に触れることはタブーとされています。子供の頭をなでることもトラブルの原因となります。また,足は不浄とされているので,足裏を第三者に向けて座ったり,間違っても足で人を指すような仕草をしたりするのはやめましょう。

3 健康管理上の留意点

 タイ国土の大部分は熱帯モンスーン気候に属し,雨期(6月~10月)と乾期(11月~5月)に大きく分かれ,特に3月から5月ごろは一年中で最も暑く,高温多湿であるため,身体的にも精神的にも疲れがたまりがちです。

日頃から無理をすることなく,十分な休養と睡眠を取ることが大切です。

(1)注意を要する病気

【デング熱】

 バンコクを含む全土で,毎年多くの感染者・死者が出ています。デング熱は昼間に吸血するネッタイシマカ又はヒトスジシマカを媒介する感染症で,主に雨期(6月~10月)に流行が見られます。

 2013年には15万人の患者が発生し133件の死亡例がありました。
北部チェンライ県,メーホンソン県,チェンマイ県,プーケット県,クラビ県で多くの感染例が報告されています。

 予防ワクチンはなく,長袖シャツ,長ズボンを着用する等,蚊に刺されないようにすることが重要です。
デング熱に感染すると,急性期に発熱,頭痛,眼球深部の痛み,関節や筋肉痛,発疹が現れます。1週間ほどで回復する病気ですが,まれに重症化し,「デング出血熱」となることもあります。このため,流行地を旅行中に急な発熱が現れた場合は,軽視せずに必ず医師の診察を受けてください。

【マラリア】

 夜間に吸血するハマダラカを媒介とする感染症で,主に雨季(6月~10月)に患者数が増加します。 2013年には1万4千人の患者が発生し9件の死亡例がありました。

 患者のほとんどが国境を接する県に集中していて,ヤラー県,ラノーン県,ターク県,メーホンソン県,チュムポーム県で感染例報告が多くなっています。
2012年に発生した1万6千例を調べた内訳は,熱帯熱マラリアが43%,三日熱マラリアが35%,両者の混合タイプが1%,不明が20%でした。抗マラリア予防薬としてメフロキン又はクロロキンとプログアニールの併用が有効ですが,但し,カンボジア,ミャンマーとの国境付近ではメフロキン耐性熱帯熱マラリアが発生しており,ドキシサイクリンの服用の検討が必要です。いずれの場合も,必ず事前に専門医に相談してください。。

【細菌性下痢及びアメーバ赤痢】

 細菌性下痢はタイで最も多い病気の一つで全土で発生が見られます(2013年107万例)。原因菌としてサルモネラ属,プレジオモナス属菌,エロモナス属菌,大腸菌が主な原因菌です。

 一方,アメーバ赤痢は,2013年には3226人の患者が報告され,通年発生が見られます。北部ミャンマー国境に接している県に多く発生しており,メーホンソン県,ターク県,シーサケート県で感染報告が多くなっています。原因のアメーバなど微生物に汚染された飲食物を摂取することで感染しますので注意してください。

 いずれも日頃から次のことに注意してください。
 (1)飲み水は市販のミネラルウォーターを利用し,外食は衛生的な 店を選ぶ。
 (2)生もの(特に魚介類)と氷水は控える
 (3)よく加熱したものを食べる
 (4)調理した後は速やかに食べる
 (5)調理場や食器類などは乾燥させておく
  

【腸チフス】

 2013年には2450人の患者が発生しました。5月から感染者が増加し,7月から8月にかけて最多になりその後減少,12月の感染者が最少となっています。

 ナラティワート県,メーホンソン県,パッタルン県で感染報告が多くなっています。汚染された加熱不十分な肉類から感染することが多く注意してください。

【HIV感染症・エイズ】

 1989年6%だったセックスワーカーの罹患率が1994年には34%に達し国を挙げての「100%コンドーム使用キャンペーン」の結果2012年には1.6%まで下降しました。

 性感染症を持つ男性の罹患率は2.3%,妊婦における罹患率は0.5%です。感染者は20歳から39歳までの年齢層が最も多くなっており,感染経路として最も多いのは性行為でですが,薬物中毒患者の注射行為に依るものも多くみられます。感染ルートについて正しく理解し,慎重かつ節度ある行動が要求されています。

【狂犬病】

 2013年のヒト狂犬病発症例は6例で,全員死亡しています。2012年に赤十字の狂犬病センターに持ち込まれた1583検体のうち155検体が狂犬病ウイルス陽性で,内,犬が90%を占めています。赤十字の医師は2~4%の野犬が感染していると推定しています。

 万一,素性のわからない犬に噛まれた場合には狂犬病ワクチンによる暴露後免疫が必要ですので速やかに医療機関を受診する必要があります。  

【結核】

 2013年11月までに全土で5950例の新規肺結核患者が発生し,10万人当たり9.37人の罹患率です。更に結核性髄膜炎157例,その他臓器結核(リンパ節,脊椎,骨・関節,腹膜,泌尿器,不明)2601例も報告されています。BCG接種を受けていない場合,感染の危険が高まりますので注意してください。

(2)タイの医療環境

 バンコクの代表的な私立病院の医療設備は,日本の病院と比べても遜色なく,優秀な医師も多数勤務しています。

また,日本に留学経験のある医師も多く,タイの医師免許を取った日本人医師が勤務する病院もあります。日本人スタッフや日本語通訳者を常駐させている所もあり,日本語での問い合わせも可能です。地方の主要都市の代表的な私立病院も,医療設備はおおむね整っています。

私立病院の医療費はしばしば高額となりますので,渡航前に十分な補償内容の海外旅行保険に加入することをお勧めします。

 なお,日本語・英語が通じる主な病院の連絡先は(3)を参照ください。

(3)主な病院

【バンコク都内】

・バンコク病院 0-2310-3000(代表) 0-2755-1666(日本語専用)
・バムルンラード病院 0-2667-1000(代表) 0-2667-1500, 1501(日本語専用)
・サミティヴェート病院 0-2711-8000(代表) 0-2711-8786(日本語専用)
・プララーム9病院(ラーマ9世病院) 0-2202-9999(代表)
・クルアイナムタイ病院 02-769-2000(代表)
・BNH病院 0-2686-2700(代表)日本語窓口:内線2742

【チョンブリ県内】

・バンコクパタヤ病院 0-3825-9999
・サミティヴェートシラチャー病院 0-3832-0300

【プーケット島内】

・バンコクプーケット病院 0-7625-4425

【チェンマイ県内】

・チェンマイ・ラム病院 0-5392-0300
・チェンマイ・ラーチャウェート病院 0-5380-1999
・チェンマイ・ランナー病院 0-5399-9777

(4)煙害(ヘイズ)

  毎年乾期の後半(2月~5月位)頃に,タイ北部各県において,山焼きや野焼きに起因するとされる煙害(ヘイズ)が発生しています。

所により,タイ政府が定める安全基準を大幅に上回る大気汚染が発生しており,健康被害を引き起こす可能性があります。タイ環境省公害管理局は,地域住民,特に子供,高齢者,気管支等疾患者に対して,煙害が激しい場所における活動は極力避け,外出の際はマスクを着用し,家のドアや窓を閉め,体調不良になった場合は医師に相談するよう注意喚起をしています。煙害が発生する2月から5月にかけては,タイ政府や現地の報道などに注意してください。