2022年11月15日追記

海外旅行に出かけた時、チップの習慣に戸惑ったことは誰でもあると思います。
アメリカのようにチップを支払うことが当たり前の国は、レシートに支払うべきチップの金額が書いてあったりしますね。
ではタイのチップはどうなっているのでしょうか?
日本の皆さんも、プーケットに来て、チップのことで戸惑わないように、ご説明したいと思います。

・タイのチップについて
 ・サービス税について
 ・チップの渡し方
 ・チップの金額
・タイ人のお金の感覚
・タイ人と日本人の感覚の違い

等をご紹介しています。
このページは5分程度で読み切れる内容です。

プーケットのチップ事情

そもそもタイではチップの習慣はありませんでした。
そのため今でも、タイ人がたくさん集まる安くておいしい食堂では、お腹一杯食べたとしても、言われた通りの金額だけを支払います。

ただプーケットのような観光地は、早くから西欧人が多く集まり発展をしてきました。
プーケットは以前は、タイの国の中でもあそこの件だけはヨーロッパだといわれたほどです。
特に北半球が冬を迎えるころには、北欧など白夜がある地域の観光客が、太陽を求めてプーケットを訪れるようになりました。
そんな欧米人たちが、微笑みの国のタイでサービスを受けた時に、その気持ちよさからチップを置いて行ったのが、チップの始まりのようです。
そのため現在では、スパやマッサージなどをはじめ、レストランやホテル、ダイビングボートなどでもチップの習慣がだいぶ浸透しています。

プーケットを訪れる観光客の主な国

タイは観光立国です。
バンコクは世界でも常にベスト5に入る有名な観光地ですし、プーケットもベスト10に顔を出すことがしばしばあります。
そんな観光地のプーケットには、世界各国から観光客が訪れます。

主な国はヨーロッパが中心ですが、コロナ明けに再び目立つようになったのが、ロシアの観光客です。
また中国は残念ながら今でもコロナ規制が厳しく国外に出ることができないため、あまり姿を見ることはありませんが、コロナ前はダイビングの港もショッピングモールにも中国人があふれていました。
季節がちょうど逆になるオーストラリアからは、安定して観光客が訪れていますし、地球の裏側のアメリカからは、コロナ明けにいち早くプーケットが行ったサンドボックス計画を利用して、多くの観光客が訪れてくれました。
そして最近は、インドや中東と言った地域からの観光客が、特に目立つようになりました。

タイの税金について

チップのお話をする前に、まずタイの税金のことについて少しだけお話ししておきたいと思います。

プーケットでは前述したように多くの観光客を受け入れています。
そんな観光客が買い物をしたり、食事をしたり、スパなどに行って料金を支払ったときに渡されるレシートを見ると、税金がかかっていることが示されています。
ただローカルのスーパーなどでは、タイ語で書かれているのでなかなかわかりにくいです。
実は私たちがレシートでみかけるタイの税金の種類は、主に2つです。

VAT(消費税)

1つはVATといって、日本でいうところの消費税になります。
税率は7%です。
セブンイレブンやファミリーマートがプーケットにもたくさんありますが、そこで買い物をすると、商品の棚に書かれたままの金額を支払います。
この中には7%のVATが含まれています。
いわゆる内税です。

コンビに限らず、スーパーでもレストランでもホテルでも、プーケットでレシートをもらえばそこにはVATと書かれていると思います。
消費税は日本と同様に、国の税金となりますが、外国人観光客の場合は、この消費税の還付申請ができます。
飛行機を利用した外国人で、”VAT REFUND FOR TOURIST”の表示がある店で、高額な商品(2,000バーツ以上)を購入した場合に、空港で申請ができます。
申請は簡単ですが、もう少し詳しい条件があります。

サービス税

あと一つのタイの税金は、サービス税になります。
こちらの税率は10%になります。
このサービス税はコンビニやスーパーなどでは徴収されていません。
逆にホテルやレストランなどでは++という表記で、サービス税を徴収しているところが多いです。
++は、VATとサービス税の両方を徴収しているという意味になります。

サービス税は国に治めるVATとはことなり、従業員に分配されるものです。
観光地のプーケットのホテルなどでは、年末年始や繁忙期、ハイシーズンはとても忙しくなります。
だからと言って、給料を上げるわけにはいきません。
そこで決められて給料以外にこのサービス税を分配して、従業員に給料として支払っているという具合です。
従業員も手取りが増えるので、文句は出ませんから、なんとも工夫した税金だと思います。

気持ち良いサービスなら、ぜひチップを

今お話ししたように、ホテルや少し大きなレストランなどでは、サービス税をとっているところが多いです。
そのためチップは基本的に置かないという、現地の日本人もいます。
(現地で暮らす私たちも、チップを払っています)

ただサービス税があるレストランでも、店員さんが気持ち良い応対をしてくれたら、チップとして小さな紙幣をお釣りと一緒に置いてゆくのはとてもスマートだと思います。
スパなどに行って、とても気持ちよかったら、精算のときに施術師にチップを渡すのもよいでしょう。
ホテルなどでも荷物を運んでもらった時、さりげなく小さな紙幣を渡すと、宿泊中なにかと気を遣ってくれます。

サービス税をとっていない小さなレストランやマッサージなどに行ったときには、チップを置いてもらえるととてもありがたいです。
例えば私のショップでも、「ダイビングボートの下船時にチップをお願いします」と、事前にメールなどでお伝えしています。
下船時の下船案内のときに、ツアーリーダーがチップボックスをもって回ってきますので、お客様お一人100バーツ程度を入れていただくようにお願いしています。

ダイビングボートではとてもよくスタッフが働いています。
重たいタンクを持ったお客さんを支えたり、最終ダイビングの後にはバナナシェイクやサンドイッチを作ってくれたり、お客さんが喜ぶようなサービスを積極的に行っています。
足の悪いお客さんの時などは、ツアーリーダーがスタッフ全員に連絡をして、足に負担がかからないように一致協力をしてくれます。
天気が悪くて、船が大きく揺れる時に気分の悪いお客さんをケアしたり、時には船にエキジットする際にスタッフが海に入ってフィンを脱がしてくれる勇ましいスタッフもいます。
ダイビングボートはサービス税の徴収はしていませんので、ぜひ気持ちの良いサービスとお感じ頂けたら、チップをはずんでいただきたいと思います。

チップの習慣がない国

お話ししたように、そもそもチップの習慣がなかったタイですが、少しずつチップの習慣が広がっていき、今ではあちこちにチップボックスが置いてあります。
だからと言ってアメリカのようにチップを半強制的に支払わなければいけない、というシステムにもなっていませんし、スタッフがチップをがめつく請求することもありません。

実は世界各国には日本と同じように「チップの習慣が無い国」がいくつもあります。
最近観光客が多くなったインドもそうですし、以前たくさんの観光客が訪れていた中国もそうです。
ロシアや韓国もチップの習慣がない国と言われています。
ダイビングボートの下船案内などを見ていても、チップの習慣のない国の人たちは、チップボックスが回ってきてもスルーする人がいます。

ただこれを違う目で見てみると、経済的に潤っている国の人たちは、自分が受けたサービスについて、気持ちよくチップを渡しています。
チップボックスにも真っ先に500バーツや1,000バーツを入れる人がいます。
それはチップの習慣のあるなしに関係はありません。
1日ツアーに参加して、居心地がよかった、ハッピーに過ごせたと感じている方は、下船案内でもとても良い表情をしています。
チップボックスにお金を入れる時にも、とても良い笑顔です。
こんな人たちを見ると、精神的にも経済的にも豊かな人なんだと感じます。

サービスをする側も受ける側もお互い人間同士。
「気持ち良いサービスだな」と思った時は、ためらわずにチップを渡してみましょう。
気持ち良い笑顔が返ってきて、お互いに感謝の気持ちが表わせると思います。

チップの渡し方

チップの渡し方は様々です。
・レストランなどではお釣りを少し余分においてゆきます。
・直接サービスを受けるマッサージやベルボーイなどには「チップ」と言って、手渡しします。
・ホテルのメイドさんなどには、枕元に小さな紙幣を置いておくのも一般的です。
ダイビングボートやタクシーなどにはチップボックスが置いてあるので、そのなかに入れる方法もあります。
・ツアーなどで丸1日一緒に過ごしたガイドなどには、別れ際にチップの紙幣を握りながら、手渡しする方法がスマートです。

チップの金額

チップの習慣になれていない日本人にとって、チップの金額は悩みの種ですね。
日本でも結婚式のご祝儀やお葬式の香典で、いくら包めばいいか迷うことがあります。
「これでは少なすぎるかな?」
「それとも多すぎるのかな?」
日本の人はとても気づかいの国ですし、周りに合わせますから、相場というのを知りたがります。

では実際プーケットのチップの相場はどの程度かと言うと、サービスによって様々です。
ただベッドの枕の下に置いておくようなチップでも、20バーツ以上にしていただきたいです。
ちょうど一番小さな紙幣が20バーツですからそれ以上だと考えてください。

ダイビングボートで下船案内をするときに、ツアーリーダーがお願いしているのは、お一人100バーツの紙幣です。
ヨーロッパ人のツアーリーダーなどは、はっきりと20バーツなどは少ないので、100バーツにしてくださいといっています。
このあたりは、チップが習慣になっている国なんだなと感じます。

ちなみに20バーツ未満は硬貨になります。
チップの習慣をもってきた西欧人も硬貨で渡すのは「失礼」と考えているので、ぜひ紙幣を渡すようにしましょう。

タイ人にとって100バーツはどのくらいの価値

お金の価値はその国によって様々。
以前パンクの修理にバイク屋さんに行った時、ヨーロッパ人の親子がビーチで使う浮き輪に空気を入れてもらって、100バーツのチップを渡していたのを見て驚いたことあります。

プーケットで100バーツと言うと、安い食堂でチャーハンのようなタイ飯を一品食べてちょうどそのくらい。
コロナ明けで物価が上がっているので、最近では100バーツの価値もだいぶ下がってしまいましたが、それでもプーケットのローカルな食堂ならば、100バーツ以下のおかずがまだまだいくつもあります。
そう考えるとタイ人のちょっとしたサービスで、100バーツのチップはうれしいです。
サービス税のないレストランや、マッサージなどを受けて、100バーツをチップとして渡せば、それは「気持ちの良いサービスでした」という表れになると思います。

サービスによってチップも異なります

ただ外国人相手のゴルフやダイビングや通訳など、少し高級なサービスでも、サービス税などが含まれないものは数多くあります。
その場合は、多少ケースが異なるようです。
ほぼ1日サービスをしてくれるオプショナルツアーのガイドさんなどには、とても気持ち良いサービスを受けた場合は、チップの金額も弾んでほしいところです。
サービス税が10%になっていますので、それを目安にしていただけるとよいかと思います。

ちなみに、2泊3日をボート上で宿泊をするダイビングクルーズ(10万円近いツアー)では、コロナ前には下船時に1人1,000バーツのチップをお願いしていました。
私も以前シニアご夫妻と数日をご一緒して、10,000円札を頂いたとき「頑張ったんだな」と思ったことを覚えています。

タイ人のお金の感覚

おごって、おごられて

タイのチップを知ってもらうために、もう少しタイ人のお金に対する考え方をご紹介しておきます。

タイ人(特に男性)は、お酒を飲むのが大好き。
仕事が終わるとまだ日が暮れる前から、みんなで集まって宴会が始まります。
お酒はもちより。
その日にお金を持っていた人が気前よく、みんなにお酒などを振る舞います。

この気前よくと言うのがとても大事。
逆にお金が無い時は、お金がある人におごってもらって楽しく宴会に参加します。

給料日が月に2回あります

気前よくおごってしまうタイ人なので、給料日は月に2回あります。
すべての会社がそうとは限りませんが、月の1日と16日。
お金を手渡しにすると持っている分はすぐに使い切ってしまうので、銀行振り込みにしているところもあります。
先のことまであまり考えないタイ人らしい仕組みです。

タンブン(徳を積む)

お話ししたように「気前よく人におごる」というのはタイ人にとってとても大切なこと。

仏教を信仰するタイ人はしばしばお寺に行って、お賽銭や寄付をおしみなく出します。
これをタンブンと言うのですが、日本語(指さし会話帳)では「徳を積む」と訳されています。

そのため日常生活の中でも「タンブン」という言葉をよく使います。
さきほど宴会で人におごるのもそうですし、ちょっと高い買い物をしてそれがぼられたと知っても、「タンブン」と言って愚痴をこぼしたりはしません。

タイ人と日本人の感覚の違い

日本人は算数や暗算が得意なので、買い物をしても1円までのお釣りをすぐに計算できます。
そのためか1円でも少ないと店員に支払うように話をすると思います。

ではタイ人はと言うと、
・計算も苦手
・タンブンなどあったり
・暑い国なのでやっぱり大ざっぱ
などということもあって、時には細かいお釣りを渡さないこともあります。

例えばスーパーやコンビニなどに入って牛乳などを買うと、12.5バーツといったように1バーツ以下の単位(サタンと言います)があって、お釣りは切り捨てされたりします。

日本人がしっかりそれを請求すると「なんだよ。細かいな~!」といった感じで露骨にいやな顔をすることさえあります。

日本人は倹約を美徳とする国、そしてタイはタンブンがある国
それぞれに文化が異なるので、決して言い争いなどはおこさないようにしましょう。

旅行は気持ちよく

海外旅行ではその国の紙幣と必ず両替をします。
初めて手にするその紙幣の価値がよくわからず、ついお金を使い過ぎてしまうことはよくあること。
でもその方がかえって良いこともあります。
1バーツのお釣りで店員ともめるのは決して楽しいものではありません。

「ほほ笑みの国 タイ」に旅行で来て、とても気持ち良いサービスを受けたのならば、ぜひチップを気前よく置いてください。
お金の価値がよくわからないのが幸い、もらったほうも「コップン カー(ありがとう)」とまたほほ笑みをきっと返してくれると思います。